僕は、生きることのすべてにおいて、希望というものを全く失っていた。
妻からは離婚を切り出され、息子は家庭内暴力、会社はリストラ。
この半年、僕はひどく疲れていた。
この頃、父のことを思いだす。
父はガンだ。たぶん年を越せないだろうと言われていた。
最後の最後までわかりあえなかった父。あの人ならどうしただろう。
「死んでもいいかなぁ」そう思った時、僕の前に一台のオデッセイが停まった。
僕はオデッセイに乗って、大切な過去の時間に連れて行かれる。
そこで、同い年の父と出会い、大切な過去をやり直していくが・・・。
あらすじ
ホンダにオデッセイというワゴン車がある。38歳の冬・一雄はオデッセイに乗って不思議な旅をした。この物語は、その不思議な旅の顛末です。38歳の冬。妻・美代子からは離婚を迫られ、息子・広樹は家庭内暴力、そして自分は突然のリストラ。サイテーの現実に「死んでもいいかなぁ」と思った一雄の前に不思議なワゴン車が停まる。運転手は橋本と名乗る男。一雄はワゴンに乗せられ、過去の時代にタイムスリップする。そこはまだ幸せだと思っていた去年の夏。そこに末期がんで入院中のはずの父・忠雄が、一雄と同じ38歳の姿で現れた。
解説
2002年度本の雑誌が選ぶ年間ベスト10、第一位に選らばれた家族小説「流星ワゴン」の舞台化。過去へタイムスリップするメルヘンティックな技法を使いながら、終局、一気に現在を描き「流星ワゴン」に乗って戻った過去の物語が全部氷解していく演劇ならではの舞台。
CAST
館野元彦(永田一雄1) 井上太(永田一雄2) 馬渕真希(永田美代子) 久保田勝彦(永田忠雄)
三田直門(橋本義明) 中山陽介(男) 染谷麻衣(女・劇団昴)
STAFF
原作:重松清(「流星ワゴン」講談社刊)
脚色:青木豪(グリング)
演出:磯村純(青年座)
装置:阿部一郎
照明:鷲崎淳一郎
効果:中嶋直勝
音楽:平井真美子
舞台監督:稲葉対介
制作:平野真弓
流星ワゴン 巡演スケジュール
上演に関してのお問合せは 銅鑼制作部 TEL03-3937-1101 まで。