プレイベントは、おかげさまで大盛況で終えることが出来ました。
寒い中ご参加頂きました皆さま、本当にありがとうございました。
この対談の模様は、『彼の町』公演パンフレットに採録する予定です。
また、以下のyoutubeでもご覧頂けます。
 

劇団銅鑼創立45周年記念公演第1弾『彼の町』プレイベント

現代社会とチェーホフ

日時:1月22日(日)14時30分〜16時30分

会場:池袋ISPタマビル8階会議室 

主催/劇団銅鑼  協力/シェア=国際保健協力市民の会

世界中で戯曲が上演されている作家・アントン・パーヴロヴッチ・チェーホフ。四大戯曲『かもめ』『ワーニャ伯父さん』『三人姉妹』『桜の園』など日本でも数多く上演されている大人気作家です。チェーホフは生まれ故郷タガンローグから医学を学びにモスクワへ、そこで勉学に励みながら、家計を助けるために短編を発表していました。劇団銅鑼で2017年3月に上演する演劇『彼の町(かのまち)』は、そんなチェーホフの20代の頃に発表された短編を織り交ぜた舞台です。医師でありながら作家だったチェーホフ。公演のプレイベントとして、舞台や映画で演じ続けてきた俳優・鈴木瑞穂氏と、海外での保健医療活動や山谷地区で地域医療に取り組む医師・本田徹氏。旧知の友人であるふたりのプロフェッショナルに、それぞれのフィールドを通してチェーホフと彼が予見した100年後の現代社会について熱く語っていただきます。

 

       

 

                                                                  

鈴木瑞穂(俳優)

オフィス・ODA/団友、劇団民藝を経て、銅鑼創立に参加。
主な舞台出演として『請願』『子午線の祀り』『オットーと呼ばれる日本人』『ヘンリー6世』(以上、新国立劇場)『想い出のチェーホフ』(民藝)で日本で初めてチェーホフ自身を演じる。
2006年『女相続人』『夜の来訪者』で紀伊國屋演劇賞個人賞受賞。
銅鑼では『炎の人―ゴッホ小伝―』、『橙色の嘘』(東京芸術座・銅鑼)、『ヨーン・ガブリエル・ボルクマン』『はい、奥田製作所。』など。

本田徹(医師)

シェア代表理事、日本国際保健医療学会理事、プライマリヘルスケア研究所理事、パレスチナ子どものキャンペーン理事。
青年海外協力隊医師隊員として北アフリカ・チュニジアへ派遣中に途上国の医療保険の指針となるプライマリ・ヘルス・ケアに関するアルマ・アタ宣言が出され、大きな影響を受ける。後にNGOシェア=国際保健協力市民の会設立、東京山谷地区のホームレス医療支援の活動(山友会)に参加。NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」で特集される。
2007年若月賞、2010年沖縄平和賞(シェアとして)、2012年毎日新聞社会福祉顕彰受賞。

ご登壇頂く、本田徹先生からご案内のメッセージを頂きました。

 hito1.jpg「現代社会とチェーホフ」ー 鈴木瑞穂・本田徹公開座談会へのお誘い

           シェア代表   本田 徹

 

 19世紀のロシア文学はプーシキンに始まり、チェーホフに終わりましたが、その間にドストエフスキーやトルストイを含む、傑出した文学者を数多く輩出し、世界の他の国々、他の時代に類例を見ない、豊穣で卓越した世紀となりました。一方でこれほど苦悩の深かった時代と土地も、人類史上珍しかったと言えます。

 

 チェーホフ自身を日本で最初に劇の舞台で演じた名優・鈴木瑞穂さんには、私の父で劇作家の本田英郎と彼が親友であったこともあり、子ども時代によくかわいがってもらいました。

 私自身も北海道で医学生になってから、医師チェーホフの短編小説に親しんだり、「サハリン島」という破天荒で、驚くほど公正で、洞察に満ちた長編紀行・探検記を読んで感激した覚えがあります。

 

 このたび、チェーホフの短編小説を脚色した「彼の町」(作 青木豪 演出 大谷賢治郎)という劇を銅鑼が上演することとなり、そのプレイベントとして、鈴木瑞穂さんと公開対談をする機会を与えられるのは、私として望外の喜びです。

 

 なぜいまチェーホフなのか? なぜ彼のメッセージがこれほど切実で、国境と言語を越えて人の心を打つのか? それは、彼の描いた、テロや戦争や階級対立や飢饉などで絶望的な状況に陥っていた、19世紀末のロシア社会の人びとの日常が、21世紀の私たちの住む、富や情報だけでなく、混沌と暴力と差別と不和までもがグローバル化した世界を、映し出す鏡のような働きをしているからではないでしょうか。

 ロシアの巨大な矛盾と絶望を誠実に、作家として医師として生き切ったチェーホフが紡いだ珠玉の言葉に、私たちはもう一度、人間なるものへの信頼と愛と理性を見出すことができると信じます。

 

 皆さまの公開座談会へのご参加と、この劇の鑑賞を心よりお薦めしたいと存じます。

 

2016年12月

 
 
 
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